生徒が自傷行為をしていることを知ったときには、動揺や不安を感じるかもしれません。自傷行為は生徒ひとりで解決できる問題ではなく、解決には長い時間と継続的な支援が必要です。自傷行為や、自傷行為をしたその生徒を否定することなく、見守ってあげてください。
自傷行為とは
自傷行為とは、自分を傷つけるすべての行為を指します。他の年代と比べると10代で最も多く見られ、性別間・ジェンダー間での頻度の差はありません。
自分を傷つける方法はさまざまです。
- 手首、腕、太もも、腹部などの皮膚を刃物や金属で傷つける(切る、彫る、剥ぐ)
- 爪をはぐ
- 薬(処方薬や市販薬)を過剰に飲む
- 髪の毛を抜く
- マッチやライターで自分をやけどさせる
- 自分を殴る
- 壁や床に頭をぶつける
- 洗剤や薬液などを飲む
などがあります。周囲からわかりづらい自傷行為には、わざと多量に飲酒する、わざと安全でない性行為をするなどもあります。
自傷行為に至るきっかけは、知り合いから勧められた、インターネットで知った、という場合も少なくありません。「なんとなくやってみたら気持ちが楽になった」という経験から始まり、くせになってしまい、やめることがとても難しくなります。自傷行為を繰り返しているうちに、深刻なケガを負うことや、本人にとっても予期しない死亡につながることがあります。自傷行為をする人は自殺を試みるリスクも高いです。
科学的な原因としては、体が痛みに反応するときに痛みを和らげるために分泌される化学物質(エンドルフィンなど)が自傷行為によって一瞬でも分泌されるため、つらく苦しい感情が和らぐのでは、という説もあります。
自傷行為についてのよくある「勘違い」
自傷行為についてのよくある「勘違い」は…
- 自傷=自殺を考えている
- 自傷しているのは注意を引こうとしているだけだ
- 自傷行為について本人に尋ねると、もっと自傷をするようになる
- 自傷行為は思春期だからしかたない、大人になればなくなる
これらはすべて誤り!
自傷行為について正しいのは、
- 自傷行為をしている人は自殺のリスクは高まりますが、自傷しているから自殺したいと考えているわけではありません。
- 注意を引くためだけではなく、苦しさから逃れるための手段が自傷以外に見つけられない状態です。
- 自傷行為を止めるには、周囲の人がしっかりと本人から話を聞き、気持ちを理解する必要があります。
- 自傷行為は成人後も続くことがあります。
自傷行為をする理由
自傷行為は、その人がとても深い苦しみの中にいるサインです。ほとんどの場合、死ぬためではなく、苦しみから逃れるために行われます。深い苦しみをなんとかしようとして、苦しみと向き合う代わりに自分を傷つけます。
- つらい気持ちをコントロールできないため
- つらい気持ちから逃れるため
- なにも感じない、自分は空っぽと感じて「何かを感じる」ため
- 孤独感をまぎらわすため
などが考えられます。
自傷行為をしている生徒への支援
自傷行為をしている子どもの多くは、それを隠そうとします。「ばれると叱られる」「自傷行為をしている自分はダメな人間だ」「理解してもらえない」などと思っているからです。そのため、「自傷行為がばれた」とき、本人が自傷行為を否定したり、支援を拒絶したりすることはよくあります。
自傷行為を見つけた場合、最も重要なのは、本人の話を聞くことです。自傷行為を叱る、本人を非難することはせず、本人が感じている苦しみを認めてあげてください。自傷行為をしたい衝動にかられたときに、他にできる行動はないか、本人と相談しましょう。
次のことを試してみましょう。
「苦しみはあってもいい。苦しいよね。でも自分を傷つける以外に苦しさをまぎらわせる方法はないかな?」と、生徒に問いかけてください。
他の方法として、たとえば…
- 散歩する、走る
- 音楽を聴く、絵を描く
- 枕やクッションを叩く
- 枕やクッションに顔をうずめて叫ぶ
- 自分の絵を描いて、絵の自分を塗りつぶしたり、落書きしたりする
本人が考えた「他の方法」で自傷行為をしないで済むことが1度でもあれば、それは、すばらしいがんばりです!
医療機関の受診を勧めてください
自傷行為の背景には、精神疾患、発達障害、パーソナリティ障害、神経症などが存在する可能性があります。保護者と相談し、医療機関へ受診するよう勧めてください。