性別とは?
性別には、生まれた時に決められた性別と、自分で感じる性別があります。人は生まれたときに、からだの作り(外性器の見た目)から判断され「男性」か「女性」かの性別が決められます。成長してから、自分自身が感じる性別と、うまれたときに決められた性別は、必ずしも同じではありません。
多様な性に関する用語
多様な性のありかたが社会に広く知られるようになってから、性に関する言葉が多く使われるようになりました。今後も性を表現する言葉はどんどん増えていくと思いますが、現時点でよく使われる言葉をここで説明します。
性自認(Gender identification)
性自認とは、自分が「男性」「女性」「その他の性別」と感じる感覚のことです。
性自認は、典型的には2~3歳までに決まります。人生のかなり早い段階で、性別について自分が自然に感じる感覚が「性自認」です。
「その他の性別」には
- トランスジェンダー(生まれたときに決められた性別とは異なる性別だと感じる)
- ジェンダークィア(自分の性別が、今あるどのわくぐみにあてはまらないと感じる)
- クエスチョニング(性別が分からないと感じる)
- ノンバイナリー(男性でも女性でもない、もしくは両方混じっていると感じる)
- ジェンダーフルイド(性別が流動的に変わると感じる)
など、さまざまな性別があります。「性別がない」と感じる人もいます。
国や文化に関係なく、多様な性自認をもつ人は世界中にたくさんいます。多くの国で、生まれたときから社会や文化で決められた性的な役割があります。「女の子らしくしなさい」「これは女の子のやること」「男の子らしくしなさい」「男ならこうしなさい」など日常の何気ない言葉が、その子を不安にさせ傷つけてしまいます。
性的指向(Sexual Orientation)
性的指向は、「人が自分の性自認やからだの性別にもとづいて、恋愛や性的魅力を感じる対象」を示す言葉です。だれかを好きになる、仲良くなりたいと思う、触れたいと思う…このような気持ちがめばえるのは自然なことです。恋愛の形は人それぞれです。
- ヘテロセクシャル(自分と異なる性別または異なる性自認の人が対象)
- ホモセクシュアリティ(自分と同じ性別または同じ性自認の人が対象)
- ゲイ(男女問わず同性愛の人を指す言葉。日本では特に男性の同性愛者を指す。)レズビアン(女性の同性愛者)
- バイセクシャル(男女両方が対象)
- アセクシャル(恋愛感情をもつことがない、または、恋愛感情をもつことはあってもその相手に性的な感情を持つことはない)
- キュリアス、クエスチョニング(自分の性的指向がわからない、確信がもてないと感じる)
SOGI、SOGIE
性自認と性的指向の両方をまとめて表す言葉です。Sexual Orientation and Gender Identityの頭文字をとった言葉で「ソジ」と読みます。この言葉にExpression (エクスプレッション、性の表現)のEをくっつけてSOGIEとあらわされることもあります。性の表現とは、人が何を着るか、どのように話すか、社会的にどうふるまうかということで、必ずしも性自認を示すものではありません。
LBGT、LGBTQ、LGBTQI+
Lesbian(レズビアン)、gay(ゲイ)、bisexual(バイセクシャル)、transgender(トランスジェンダー)の頭文字をとった言葉です。LGBTにQueer(クィア)のQをくっつけた言葉がLGBTQです。さらに、Intersex(インターセックス)のIと、それ以外の性を表す「+(プラス)」をくっつけた言葉がLGBTQI+です。多様な性をひとことで表すときに使われることが多いです。
インターセックス(Intersex)
インターセックスは、Difference in sex development(DSD)と呼ばれることもあります。DSDは日本語では「性分化疾患」と訳されます。性分化とは赤ちゃんがお母さんのおなかにいるときに赤ちゃんのからだの性に関わる臓器(性腺、内性器、外性器)ができあがる過程のことです。その過程が多くの人とは異なる型をとるさまざまな病気のグループを「インターセックス/DSD/性分化疾患」と呼びます。生まれたときに決められた性別は、それぞれのインターセックスの人によって違います。もちろん、性自認や性的指向もそれぞれの人で異なります。
思春期と性自認
思春期に入ると、男性・女性としてからだの性の成熟が進むうえ、他人が物事をどうとらえているかという点にも関心を持つようになります。そのため、生まれたときに決められた性別と性自認が異なる場合、とまどいや不安が大きくなることがあります。「からだの変化が嫌…」「私は人と何かがちがう?」「自分は変?」と感じてしまうかもしれません。人と違う、という思いは、つらさや不安につながります。しだいに、「自分が好きになれない」「自信が持てない」という気持ちが強くなり、こころの健康に大きく影響します。
思春期と性的指向
思春期には、だれかに恋愛感情をいだく、だれかに性的魅力を感じるようになります。友達との会話の中でも、恋愛や性行為に関する話題がふえ、恋愛経験や性的な経験をしていくうちに、自分の性的指向を知るようになります。一方で、思春期には、性的指向に関係なく、同性を好きになることや同性と性的な関係を持ちたいと感じることがよくあります。
多様な性的指向をもつ場合、「自分はおかしいのでは?」「恋愛の話題がつらい」「だれにも打ち明けられない」「自分の好きな人がだれかを知られたら、友達に変に思われる」というつらさや不安を感じることがあります。自分の性的指向を認めたくない、と感じる人もいます。
多様な性的指向をもつ人は「生きづらさ」を感じている
残念ながら、社会には、多様な性をもつ人への偏見や差別がまだあります。自分に直接向けられたものではなくても、女性は女性、男性は男性、そしてヘテロセクシャルを当然とする言葉や態度に触れ、自分らしくいられない・自分らしく生きられないことが原因で、こころが不安定になります。多くの国での研究で、LGBTQの人は、いじめの被害、不登校、職場での差別、うつ病、アルコール/薬物使用を経験するリスクが高いことが報告されています。
こんな声かけをしていませんか?
お子さんと話すときに、無意識にこんな声かけをしていませんか?または、小さき時にしていませんでしたか?これらは、生まれたときに決められた性別と本人の性自認が同じで、かつヘテロセクシャルであることを前提とした声かけです。
もし、お子さんが多様な性自認・性的指向を持つ場合、こうした言葉はお子さんを深く傷つけます。毎日、自分の性自認にしっくりこないことをするのは、つらく苦しいことです。性的指向を家族に認められないというのは、強い不安になります。このような状態が続くと、自己肯定感(自分をポジティブに受けいれる感覚)が低くなります。できるだけ中立的な言葉を使いましょう。
(男の子に対して)
- 彼女の一人でも作りなさい
- 男なんだから体力をつけなさい
- 男なんだからもっと食べなさい
(女の子に対して)
- 彼氏はできた?
- 女の子なんだから行儀良くしなさい
- 女の子なんだからもっとかわいい服を着なさい
親だからこそ受け止めて
親である皆さんに、何よりも理解いただきたいのは、性自認も性的指向も、お子さんの一部であるということ。髪の色や肌の色、眼の色と同じように、生まれ持ったその子の一部で、変えられるものではありません。いろんな形があっていい、あなたらしく生きればいい、と見守ってください。
もっと詳しく知りたいひとへ
- 多様な性への理解と対応ハンドブック.長崎県.https://www.moj.go.jp/content/001341628.pdf
- 多様な性について考えよう!~性的指向と自認~.法務省人権擁護局 https://www.moj.go.jp/JINKEN/LGBT/index.html
参考文献
- FAQ on Health and Sexual Diversity. World Health Organization Gender, Equity & Human Rights. 2016.
- Adelson SL, et al. Gay, Lesbian, and Bisexual Adolescents. Adolescent Medicine. In: Nelson Textbook of Pediatrics, 21st Edition. Kliegman RM, St.Geme J,eds. Elsevier. 2020.
- UN Free & Equal is an initiative of the United Nations Human Rights Office. https://www.unfe.org/the-price-of-exclusion/