思春期の子どもを診るときのコツ
子どもが受診する理由
思春期の子どもが医療機関に受診する理由は、予防接種に加え、大きく3つに分類できます。
- ① 感染症や外傷などの急性疾患の治療
- ② アレルギー性疾患、内分泌疾患、血液疾患などの慢性疾患の治療
- ③ 行動の問題や器質的原因が明らかではない慢性的な身体的愁訴
(慢性頭痛・腹痛、朝起き不良など)
思春期の子どもの診察は、時に、容易ではないことがあります。
特に上記③の場合には
- ・受診に至るまでの経過が長い
- ・訴えがあいまい
- ・子ども自身があまり話さない
- ・親が困っているのか、子どもが困っているのか判断しづらい
- ・親が困っているのか、子どもが困っているのか判断しづらい
など、対応に困ることがあるかもしれません。
ここでは、思春期の子どもを診るときのちょっとしたコツをご紹介しています。
子どもを診察する際に意識すること
医療者が、思春期の子どもにとって「困ったとき相談できる大人」であることができれば、彼らの健康をもっと支援できると考えます。
1子どもの話を聞く
1. 子ども自身から
診察時間の許す範囲で、子ども自身から症状や困っていることを聞きましょう。短時間でもいいので、保護者に席を外してもらい子どもと一対一で医療面接(問診)をすることが理想的です。
受診理由が上記の③の場合には、問題解決には時間がかかることもあります。
「だれ」が「何に」困っていて、その困りごとは治療の対象なのか、あるいは治療が可能なのか、を客観的に評価します。
評価のポイント
- 誰が?
- 保護者?子ども本人?学校?
- 何に?
- からだの症状?こころの症状?症状のためにできていないこと?
- 治療の対象は?
- からだの病気?こころの病気?社会的な問題?家族(親子関係)の問題?
2. 話しやすい雰囲気で
多くの10代の子どもにとって、「病院」は日常的ではない場所です。病院に行きたくない、緊張する、と感じることもあります。自分からなかなか話をしてくれないこともあります。初診では、アイスブレイクとしておしゃべりをするとよいでしょう。
子どもの好きなものや、10代に流行しているものが話しやすい話題です。おしゃべりを通じて、子どものキャラクターを把握します。
子どものキャラクターに応じてopen questionとclosed question を使い分けると言葉を引き出しやすくなります。
子どもの衣類や持ち物に注目し、好きなものはなにか探ってみましょう。
- Tシャツの柄やロゴ
- 鞄につけられたバッジ
- キーホルダーのキャラクター
- スマートフォンのケースやアクセサリー
- ピアスやブレスレット等のアクセサリー
- マニュキュア など
10代に流行しているものを話題にしましょう。
10代に流行しているアニメや漫画、アプリ、動画、アーティストや芸人などを話題にする、本人に「どんなものが流行っている?」と尋ねる、などしてみましょう。日頃からこうした情報をチェックしておくのもよいでしょう。
3. 「聞き上手」でいる
子どもが自分の症状や困っていること、悩みなどを打ち明けてくれた時には、その内容を否定する・断定することは避けましょう。
「○○なんです」と言われたたら、「○○だと感じているのですね」「○○というのはつらいですね」など共感する姿勢を示すと、相手は話しやすくなります。
また、自分の言葉を受け止めてくれたという安心感を与えることができ、自分で考える・自分で決める、という行動を促しやすくなります。
4. 敬意を払う
「まだ中学生/高校生だから」と子ども扱いをすることは避け、気持ち・医師を尊重しましょう。
保護者ばかりが医療者に話し子どもが話さない場合でも、「○○君はどう感じていますか?」と声掛けをしましょう。
2身体診察をきちんと行う
学校健診はありますが、思春期は、医療機関への受診頻度が最も少ない年代です。医療機関に受診した際には、主訴に対する診察に加え、全身の診察を行うのが理想的です。主訴に関連した所見のほかに、コモンな所見として、過体重、やせ、尋常性ざ瘡、湿疹、齲歯があります。
また、さまざまな理由で長期間学校に行くことができていない子どもは、学校健診を受けていない可能性があります。何らかの理由で医療機関に受診した時が、健康状態を評価するチャンスです。
3全体を診る
上記(「子どもが受診する理由」)①~③の理由で受診する場合でも、受診理由(主訴)だけではなく、こころとからだの健康全体を評価する意識を持つことが理想的です。診察時間が許せば、心理社会面の評価をしてみましょう。